Blue Bottle Coffee Qiantan Café
Site: 上海
Architect: 芦沢啓治建築設計事務所
Project architect: 芦沢啓治 / 呉昭彦
照明計画: AURORA/市川善幾
ランドスケープデザイン: 橋内庭園設計 / 橋内智也
Photo: Jonathan Leijonhufvud
ブルーボトルコーヒー前灘カフェは、上海のあたらしい開発エリアにありオフィスビルやホテル、ショッピングモールが立ち並ぶ。そのほぼ中心にある緑豊かな公園が今回のブルーボトルコーヒーの舞台である。元々の建物は楕円形の平面を持つガラス張りの施設だが、公園の中の新しい居場所として、ブルーボトルコーヒーがこの場所を使う場合、どのようなコンセプトが相応しいかをまず考えることになった。
1階部分、すなわち地上部分は元々あった2階のスラブを全て取り払い大空間とした上で、公園の延長としてベンチやスツールを設え、まるで公園の中の植物園のように大きな木をガラスケースの中にいれた。一見、植物園のようでもあり、あらゆる天候においても使えるコンサバトリーのようでもある。
公園の雰囲気を維持するため、メインのコーヒーカウンターはあえて地下に集約している。そのため地下への階段を新たに作る必要があった。元々の建物は地下へのアクセスは存在していなかったのである。地下に降りる長い階段を楽しんでもらうために、洞窟のような空間を楽しんでもらうことを考え、まるで公園の中の土をもぐるような体験を作ることになった。
土の色と共に、上海の街並みからインスピレーションを受けた赤茶色のボリュームで作っている。また地下室からの必要なダクトも、同じ色で作られた屋上から飛び出たボリュームとしても外観として見えてくる。地下空間には、大きなカウンター、カウンター席、半個室感のある席、アウトドア、インドアのベンチなど多様な席が用意され、ゲストは好きな場所を選ぶことができる。地下空間といっても大きなドライエリアに面しており、開放感のある空間であるが、階段のボリューム、公園の地下ということから柔らかい印象を内装で作り出すとともに、ハードな既存空間とのコントラストを作り出している。
上海において、5店舗目となるブルーボトルコーヒーだが、初めての公園内のカフェとなる。ブルーボトルのコンセプトでもあるコミュニティーへの配慮は、この店舗においても重要なテーマであり、故に公園に出店という選択とかつ地上階は公園に開放している。コーヒーのみならず、上海の市民がこの場所を利用することで、彼らのwellbeing に貢献できれば幸いである。