Blue Bottle Coffee Minatomirai Cafe

2020

横浜美術館の正面、また公園に隣接し、ガラス張りの開放的な空間と曲線や木の素材使いによる柔らかさが心地よいBlue Bottle Coffee みなとみらいカフェ。⁠

メイン素材を木材とし、中心感を作るために円形のデザインをコンセプトに、円形のカウンター、円形の家具をこのカフェのためにデザインをして、老舗であり高品質な家具をつくることで評価の高い家具メーカーのカリモクよって作られた。それによって公園のシンボルツリーの木陰に入るような温かくウェルカムなムードを作り上げた。

インテリアのみならずランドスケープを巻き込むことを考え、スタッキングのできる特注のアウトドア家具をデザインしている。スタッフはそのベンチを毎朝配置し、既存のアートや街路樹と組み合わせることで、インテリアからの延長されたランドスケープデザインを構成し、その環境かたインテリアの家具のディティールに至るまでを一つの体験と考えるデザインアプローチを取ることにより、周囲の景観とのハーモニーを奏でるカフェ空間となっている。

照明計画は、夜間において柔らかい光で公園内を歩く人たちがつい寄り道したくなるような、または常夜灯のようなに優しく周囲を照らすさりげなさをテーマに設計された。特に半円形のカウンターにセットした照明、直径1800ミリのテーブルの上にぶら下げた特注照明も、カリモクに作ってもらうことで、椅子やテーブルなどの家具やカウンターの面材と同じ材料で作りだし、一体感を作り出している。カウンターの照明は、カウンターをむら無く優しく照らすだけではなく、天井にも光を供給することで、ガラスのケースの中の優しい光をボリュームとして見えるようになっている。またそれらの照明は、木によるスラットをルーバー状に入れることでグレアカットをしており、その木のルーバーに光が当たり、クラフトマンシップを感じることで、空間全体の質にも寄与している。

また柱に塗ってある耐火塗料の破損を防ぐため、通常椅子の座面に使われるペーパーコードを床からバーカウンターの高さまで巻き付けており、インテリア空間を家具のような繊細なクオリティに統一されている。

家具のデザインにおいてはコペンハーゲンのデザインスタジオNorm Architectsと協働している。多くのデザインバリューを共有している双方のスタジオから生まれるデザインと、カリモクとの協働の成果でもあるこの空間のためのデザインをカリモクケーススタディのケースとしてスツール、椅子、ラウンジチェアーが現在は商品化されている。

オープンして1年近く経つが、今も週末は周辺の家族が公園と美味しいコーヒーを楽しむ姿がある。インテリアプロジェクトがブルーボトルというブランド力もさることながら、プログラム、そしてデザインによって街が少しだけ魅力的になることを感じたプロジェクトである。