MARIHA OMOTESANDO HILLS

2024

東京の商業的なエリアのメインストリートに建つ表参道ヒルズ地下1階に、ジュエリーとサマードレスなどを展開するMARIHAの商品をフルラインナップで展示する初の旗艦店を計画した。

入口から世界観をしっかり見渡せるように高さを抑えた什器を並べ、施設のゆったりとした通路と呼応させるように店内の通路も幅をしっかり取ることで、入りやすい雰囲気を作っている。売場の奥にはゆったりとした空間で接客ができるラウンジと2つのフィッティングルームを用意しており、ショップフロントにはブランドの世界観を表現するモニターとショーケースを配置している。

インテリアの要素は、MARIHAの素材やシルエットを丁寧に吟味するスタイルと日本古来の「花鳥風月」という美意識をベースに作り上げるコレクションを体現する場所として、ブランドカラーである品のあるゴールド色のスチール、大理石、オーク材といった天然の素材を中心に構成している。

空間の中心にあるフレーム什器は異なる商品ライナップを一つのガラスケースにまとめており、商品に共通する美意識や世界観を表現できるようにした。同時に一つひとつをミュージアムにおける標本のごとく大きな舞台のように見立て、それぞれの世界観を表現し楽しく回遊しながら眺められるように考えた。

ガラスケース内はインテリアスタイリスト中田氏とMARIHAが協働し、スタイリングアイテムがランドスケープのように並べられており、ジュエリーがもつコンセプトやストーリーを余すことなく感じるディスプレイとなっている。
壁面はドレスを飾るためのハンガーを配し、季節に応じて棚を設置できるようになっており、一年を通して異なる風景を作り出す。

ジュエリーの曲線に呼応するように出角は曲線を描き、乳白色のアクリルパイプを使い透明感のある吊り照明をデザインするなど、細部までディテールを整えることで洗練された空間のクオリティを作り出している。

メインのカウンターには大理石を使い、エレガントでタイムレスなMARIHAのブランドを表現し、またバックカウンターのロゴは、アシンメトリーな配置によって日本的な要素も加味し、スタイリングへの遊び心を作り出している。

丁寧にブランドのコンセプトをディテールに落とし込んでいくことから生まれた空間の質、そしてまるでミュージアムのように並べられた美しい商品によって飾られた店内を回遊していると、MARIHAの世界観を感じられる。フラッグシップとして相応しい店舗になったと自負している。