Blue Bottle Coffee Shiroiya Cafe

2021

群馬県前橋で江戸時代に創業し、約300年の歴史を持ちながらも2008年に廃業した白井屋旅館。建築家の藤本宗介氏により2020年12月に SHIROIYA HOTELとしてリニューアルオープンした。
旧白井屋の建物を大胆にリノベーションしたヘリテージタワーと、利根川の旧河川の土手をイメージして新築されたグリーンタワーの2棟から構成されており、グリーンタワーに開けられた3つの洞窟のような空間のうちの一つにBlue bottle coffee Shiroiya Cafeを設計することになった。
北側からの限られた光を最大限取り込むことを考え大きなガラスの引き戸を作り、ドリップのカウンターをエントランスの正面に据えている。比較的小ぶりなスペースに対し、ソファーベンチをメインの席として、公園ような気軽に立ち寄れ、休憩できるような空間を作ることを考えた。 特にセンターのソファーは、お年寄りから小さな子供までが使いやすいようにサイズや、親しみやすさを検討し華やかな色のテキスタイルを選択している。
またローカルのカルチャーを取り込むために、前橋市内の歴史的な建物にもみられ、SHIROIYA HOTELでも使われているレンガの床仕上げとして使い、群馬の左官職人によりカウンターをレンガの色との関係を考えながら仕上げた。レンガとカウンターの質感に呼応しながら照明や家具で使った少し煌めきをもつ銅や、エントランスのハンドルに使ったペーパーコード、ソファーの張り地といった手触りを感じられるものを組み合わせている。家具は、大きなソファー、壁面の棚も含めカリモク家具によるものである。硬い内装材とコントラストをもつ柔らかい印象を作り出し幅広い年齢層に対してのより良い居心地を作っている。
前橋市在住のアーティストであり、SHIROIYA HOTELにも作品が展示されている白川昌生氏による前橋をテーマにした新作アートを設置した。日本国内でも早くから地域との関係性を作品化してきた白川氏による「赤城山龍神体」と題されたこちらの作品は、前橋の歴史から着想を得て、文化を育みながら地域が新たな形へと進化していく様子が描かれている。